ナガサキの郵便配達


昭和60年7月31日。早川書房より出版。

L’ ENFANT DE NAGASAKI    著作 Peter Townsent 「ナガサキの郵便配達」 

これは⾧崎に原爆が落とされた時に郵便配達をしていた16歳の少年の物語。 本は絶版になっていて書店で購⼊することはできないが、町の図書館で見つけることはできる。当時の米軍の原爆計画の実⾏作為を⾮常にリアルに描き、 原爆被害に遭遇した少年の体験を大人になるまで見守るというドキュメント小説 である。原爆投下という卑劣な軍事行為に対する著作者の怒りとモデルとなった少年に対する温かな眼差しが感じられる。

この著作者はいったい何者なんだろうと思った。

著作者であるピーター・タウンゼントは元・英国空軍大佐だった。そしてもうひとつの背景があった。彼はマーガレット女王との恋愛沙汰ゴシップで一躍有名となり、当時この件は女王自ら記者会見を行うまでに至り、のちにこの話は映画「ローマの休日」のモデルになったという人物だった。その後、英国を出て世界旅行にでたのだという。そして何故か長崎を訪れ約1ヶ月の滞在にてかつての少年に取材をし執筆した。この本のリアルな戦争記述から著作者は元・英国空軍大佐という経歴に納得もできる。長崎にたどり着くこともきっと理由があったのだろう。

そしてこの本にはもうひとつの物語が存在している。

タウンゼントは他界しているがモデルとなったこの16歳の少年は今も長崎で生存している。私は奇跡の少年だと思っている。当時タウンゼントが残していった取材へのお礼メッセージを大切に家に貼り、自分たちや町を襲った核という卑劣なものと闘い人生を過ごしてきた。

こういう物語の存在を知った時、自分はどうするものかたいへん悩んできた。自分には大きすぎるこの物語。だけども夏は暑く冬は冷えて1年はあっという間に過ぎていく。少年も87歳の夏となった。

アーサー・ビナード氏が「ナガサキの郵便配達」を取り上げてくれる事になった。先日は一緒に長崎にまで少年と面会に行った。発展する事を望む。

もっともっと仲間を募ろうと思う。

 

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